「北前船用心棒◆赤穂ノ湊 犬侍見参」赤神諒著
元禄14年、柴犬を相棒にする犬侍の伊十郎は、北前船の蓬莱丸の用心棒に雇われる。犬侍とは、「生類憐みの令」を逆手に、法によって守られている犬を自在に使いこなして戦う当代最強の侍。中でも、龍王剣の使い手である伊十郎は、天下六犬士のひとりに数えられる剣豪だ。
伊十郎が乗り込んだ蓬莱丸は、大坂・出見ノ湊を出港。船の諸事万端を取り仕切る知工は、伊十郎に兵庫ノ津で水主の権左と船を降り、陸路で赤穂に向かうよう命じる。おとり潰しが決まった赤穂には、秘伝の塩の製法を記した巻物を手に入れようと無頼者たちが集結しているらしい。伊十郎と権左は、蓬莱丸が赤穂に入るまでに最高の塩を入手すべく奔走する。
訳ありの過去を持つ伊十郎の龍王剣が冴える長編剣戟(けんげき)小説。
(小学館 700円+税)