「プロパガンダ戦争」内藤正典著
冷戦後、民族や宗教などの対立が複雑に絡み合い、世界にさまざまな分断がつくり出されてきた。さらに、コロナ禍が新たな分断を生み出している。分断に拍車をかけているのがメディアだ。
衝突する当事者たちは、持っているメディアを使用して都合の良いプロパガンダを発信。さらに世界の流れを有利にするために他のメディアも誘導する。
その結果、対立する勢力によるプロパガンダ戦争が展開されてきた。一方でメディアは分断を修復することもでき、いずれの役割を果たすかは報道するジャーナリズム次第である。
各国の新型コロナウイルス対応に始まり、同時多発テロ以降のテロとの戦い、移民危機がもたらした欧州の分断、そしてトルコや中東など、プロパガンダ戦争から世界情勢を読み解くテキスト。
(集英社 880円+税)