<56>暴風が波を巻き上げ、海面は灰色
当真航希という若き殉職者の話を前に、海上保安官の卵たちは静まり返る。
「平成十二年七月、東北沖の台風の影響で海は荒れていた。貨物船と漁船が衝突したと一報が入り、当真が乗る巡視船ざおうに緊急出港がかかった」
桃地は目を閉じる──当時の状況を人づてにしか聞いていないが…
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