「プリズム」ソン・ウォンピョン著 矢島暁子訳
イェジンはオフィスからちょっと離れた建物の外階段に腰掛けてひと休みするのが好きだった。ドウォンが現れて「どうしてそんなにニコニコしてるんですか?」と聞いたので「コーヒーがおいしくて」と、その場しのぎの返事をした。以前、ドウォンがここでコーヒーを飲んでいたとき、「あれっ、ここ私の場所なんだけど」とつぶやいたのがイェジンだったのだ。
ドウォンには別れようとしている恋人がいたが、なんの感情ももってないイェジンとコーヒーを飲むのが心地よかった。ところがある日、そこで工事が始まって2人の「秘密カフェ」が使えなくなった。これからどこでコーヒーを飲もうか。
さまざまな過去を抱える4人の恋愛を描く。
(祥伝社 1760円)