「シャドウワーク」佐野広実著

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 紀子は保険証、通帳と印鑑、着替えなどを入れた旅行鞄1つを持って家を逃げ出した。5年間、夫からDVを受け続けたが、それを「愛情」だと思っていた。役所からやってきた相談員に、「あなた、このままだと命にかかわるわよ」と言われて自分の状況を理解し、決意したのだ。病院を退院し、シェルターに避難した後、江ノ島にある秘密の施設「志村」に入った。

 そこはDV夫から逃れてきた女たちが暮らす家だった。女たちは家主の志村昭江が経営するパン屋で1日4時間パンの製造販売の仕事をし、生活を立て直す。

 だが、「志村」にはあるひとつの「ルール」があった。

 夫のDVをテーマにした社会派ミステリー。

(講談社 1925円)

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