「これで死ぬ」羽根田治著

公開日: 更新日:

「これで死ぬ」羽根田治著

 海に山にとアウトドアレジャーが楽しい季節だが、自然は美しく雄大である半面、いたるところに危険が潜んでいるのも事実だ。実は先日、海水浴に出かけてヒヤリとしたものの、事前に知っていた知識が役立った出来事があった。

 その知識の仕入れ先が本書。何とも恐ろしいタイトルだが、海や山などアウトドアでの安全を学ぶための危険な事例がズラリと紹介され、“死なないため”の注意点も解説されている。

 海水浴でヒヤリとした経験とは、波打ち際から少し離れた場所を泳いでいて、いざ戻ろうとしたら流れが強く、なかなか岸に近づけなくなったことだ。そのとき頭に浮かんだのが、本書の「川や海で死ぬ」の章で解説されていた「離岸流で死ぬ」だった。

 離岸流とは、海岸に打ち寄せた波が沖へ戻ろうとするときに発生する強い流れのことで、幅は10~30メートル、長さは数十~数百メートル、流れの速さは秒速2メートルにもなる。離岸流に流されたことに気づき慌てて岸まで泳ごうとしても、あまりの流れの強さに途中で力尽きてしまうそうだ。

 それほど急激ではなく、離岸流ではなかったかもしれない。しかし、流れに逆らって泳ぎ続けていたら、ただでさえ運動不足の体からなけなしの体力が奪われてしまうかもしれないと考え、本書の“死なないため”に倣って岸と平行に泳いでみた。すると、フッと流れを感じない場所があり、そこから向きを変えて泳いだらすぐに海底に足がつく場所まで戻ることができた。

 ほかにも本書には、山で道に迷ったら進むのではなく引き返すのが鉄則、落雷の被害を受けにくいのは木から4メートル離れた保護範囲など、役立つ知識が満載。死にたくないなら知っておこう。 〈浩〉

(山と溪谷社 1430円)

【連載】毎日を面白くする やってみよう本

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    フジテレビ問題でヒアリングを拒否したタレントU氏の行動…局員B氏、中居正広氏と調査報告書に頻出

  2. 2

    “3悪人”呼ばわりされた佐々木恭子アナは第三者委調査で名誉回復? フジテレビ「新たな爆弾」とは

  3. 3

    「かなり時代錯誤な」と発言したフジ渡辺和洋アナに「どの口が!」の声 コンパニオンと職場で“ゲス不倫”の過去

  4. 4

    中居正広氏「性暴力認定」でも擁護するファンの倒錯…「アイドル依存」「推し活」の恐怖

  5. 5

    「よしもと中堅芸人」がオンカジ書類送検で大量離脱…“一番もったいない”と関係者が嘆く芸人は?

  1. 6

    菊間千乃氏はフジテレビ会見の翌日、2度も番組欠席のナゼ…第三者委調査でOB・OGアナも窮地

  2. 7

    入場まで2時間待ち!大阪万博テストランを視察した地元市議が惨状訴える…協会はメディア取材認めず

  3. 8

    米国で国産米が5キロ3000円で売られているナゾ…備蓄米放出後も店頭在庫は枯渇状態なのに

  4. 9

    うつ病で参議員を3カ月で辞職…水道橋博士さんが語るノンビリ銭湯生活と政治への関心

  5. 10

    巨人本拠地3連敗の裏に「頭脳流出」…投手陣が不安視していた開幕前からの懸念が現実に