「怖い患者」久坂部羊著
「怖い患者」久坂部羊著
区役所勤務の愛子は、幼いころから地味な容姿を理由に見下されてきた。
ある日、職場のトイレで同僚らが自分の悪口を言っているのを耳にして以来、たびたび発作が起きるようになった愛子は、パニック障害と診断される。しかし、医師の診断に納得できない愛子は、自分に合った医者を求めて「ドクターショッピング」を重ね、ようやく医師の小川のクリニックにたどり着く。小川の治療によって症状も落ち着き、復職も見えてきた。
そんなある日、愛子はネットで小川が覆面作家として活動していることを知る。作品を読むと診察室で語った自分をモデルにしているとしか思えず、信頼していた小川に不信を抱く……。(「天罰あげる」)
現役医師の著者が、医療者と患者の関係をテーマに描くイヤミス作品集。 (集英社 704円)