「翻訳をジェンダーする」古川弘子著
「翻訳をジェンダーする」古川弘子著
翻訳された海外の小説に登場する女性たちは、往々にして、現実には存在しないほど女らしく、上品で理想的な女性を体現した話し方をしている。しかし、その話し方は女性たちのリアルな話し方とはかけ離れている。
著者は、小説や映画、ドラマなどの翻訳はそれを読む読者・視聴者がいる社会を映し出し、使われる言葉は社会にある考えを映し出すという。
本書は、ハリー・ポッターなどお馴染みの作品を例に、社会が考える「女性らしさ」が翻訳にどう映し出されているか、さらに社会が考える「女性らしさ」に翻訳がどうあらがってきたかなどを考察。社会の中に存在しなかったり、埋もれたりしている概念を言葉によって見える化する翻訳の可能性を探る。
(筑摩書房 990円)