(111)政治の実権は二十歳の家斉に
耕書堂の一角、主人に女将、番頭がぼうっと突っ立っている。そこだけぽつねん、別の空間のよう。蔦重はようやく、ポカンと開いたままだった口を動かした。
「えっ、いま何ていった?」
「耕書堂を辞したいのです」
馬琴の全身に頑固と偏屈が満ち満ちている。
「正気な…
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