(110)馬琴に滑稽路線は似合わない
とせが鼻歌まじりで本棚を雑巾がけしている。
女房は五つ年下だから数えの三十九。世間の相場じゃ姥桜と陰口される年齢だが、ずっと若くみえるし、若やいだ心を失っていない。重三郎は思う。
「当世のいちばん切っ先の尖ったところ、戯作や浮世絵を商っているからかなあ」
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