「極限団地」真梨幸子著
「極限団地」真梨幸子著
和佳子一家は、出演料につられ、テレビのリアリティー番組に応募。番組は昭和36年当時の団地の暮らしを家族で3カ月間体験するというものだった。選考に通った一家はヤマダ家として、団地の一室で暮らし始める。
引っ越し早々、当時の家電の使い方が分からず、炊飯に失敗するなど次々とトラブルに見舞われる。しかし、室内に設置されたカメラを意識して誰も文句を言い出せない。何かと救いの手を差し伸べてくれたのは上階に住むもう一組の出演家族「スズキ家」の妻・梨乃だった。
一方の梨乃は、連日現れ、食料品を持ち帰る和佳子にいら立つ。ディレクターの坂上はそんな梨乃に仕返しとして和佳子の夫を誘惑してはどうかとそそのかす。
レトロな団地暮らしが思わぬ方向に展開するイヤミス長編。 (新潮社 825円)