<第1回>「映像化したい」と思ってから3年もかかってしまった
街の食堂にふらりと入ってうまそうに食べるだけのドラマ「孤独のグルメ」(テレビ東京系)。深夜に視聴者の食欲を直撃するこの番組が熱烈でコアな支持者を集め、ついに10月2日からSeason5がスタートする。この番組の立ち上げから参加したプロデューサーの吉見健士氏(共同テレビジョン)に人気番組の舞台裏を語ってもらった。
原作を読んで、これは絶対に映像化したいと思い、すぐに版元に出向き了解を得たのは、番組がスタートした12年より3年以上も前のことでした。原作本を買っては知り合いのテレビ局の方に持ちかけたのですが、どこも首を縦に振ってくれなかったです。何しろ原作は1編7ページと短いうえに、主人公が例えば南千住の駅で降り、ふらりと入った定食屋であれこれ悩んだ上に食事をして帰るだけ。「これじゃ尺が持たない」と番組化には二の足を踏んでしまうのです。
今のテレビには15分枠がなく、30分の番組にできないと、2~3分のミニ番組にするしかない。放送作家とも何度も話し合い、仕方ないから15分のドラマを2本ずつ放送して30分番組に仕立てて提案するしかないかと思ったこともありました。しかし、それでは原作の雰囲気が出せない。何としてでも30分番組にして映像化することにこだわってしまった。