芋焼酎がトラウマに…女優・柴田理恵さんの酒エピソード
ようやくお酒の味を知ったのは1990年ごろ、30歳を過ぎてからです。実家のお隣、石川県で放映されていた情報バラエティー「いまどきテレビおもしろ便」(石川テレビ)のレギュラーリポーターを1年間やりまして、県内の蔵元さんへお邪魔したのがきっかけです。
石川県は「菊姫」「手取川」「天狗舞」、能登の「宗玄」など地酒ファンに知られた名酒が多くて、お酒好きの私にとってはまさに飛んで火に入る夏の虫。次のロケが蔵元だと知った途端に心ウキウキでした。
■寒仕込み取材で感激した杜氏さんの燗酒
今でも忘れられないのが1月中旬、「菊姫」の寒仕込みの取材です。
ロケが一段落したところで杜氏さんが縁の下からヒョイと取り出したのがラベルのない一升瓶。これをヤカンにドバドバッと入れて、ガスコンロで燗酒にしてくださったのが、まあ、おいしいこと。
あのお酒、商品化にまでは至らない試飲用のお酒だと思うのですが、杜氏さんの燗のつけ方が熱くもなくぬるくもない、絶妙な加減。差し出されたぐい飲みからほのかに漂う甘い香り、一口飲むと口内にふわりと広がり、そしてスルリとした喉越し、余韻……。酔うだけではない、おいしい日本酒を初めて知った瞬間でした。