世界で注目の疲労回復成分「SAC」は抗酸化・抗炎症作用に優れる
疲労回復に良いといわれる代表的な食材がニンニクだ。そのニンニクの成分「S-アリルシステイン(SAC)」が、最近特に疲労回復効果が高いとして国内外で注目されている。2000年からSACの研究に取り組む日本大学薬学部薬理学研究室の小菅康弘教授に話を聞いた。
古来、ニンニクの有効成分として知られるのが「アリシン」だ。アリシンは活性酸素を除去する抗酸化作用に優れ、血液をサラサラにする働きに加えて、抗菌・抗ウイルス・抗腫瘍作用など多数のプラス面を持つ。
半面、刺激が強く、過剰摂取すると胃腸障害や吐き気を起こしかねない。腸内の善玉菌に障害を与えるほか、強い口臭や体臭のもととなる。これらのマイナス面を持たないニンニク中の成分として注目を集めているのがSACだ。
「SACは生ニンニクを破砕してエタノール水溶液に10カ月以上漬け、そこから抽出した成分です。SACそのものには刺激性がほとんどなく、胃腸障害や強い口臭などの心配がありません」
SACに光が当たったのは、1998年の国際ニンニク学会でのこと。2000年ごろからSACの研究報告が増えた。現在、抗ウイルス・抗腫瘍・抗酸化・抗炎症作用に加え、肝臓や心臓、血管、神経細胞を保護する作用、肥満抑制や血糖値改善などのさまざまな効果を示すことがわかっている。