運転中の脳卒中の症状を飲酒運転と誤認…米国の裁判に注目集まる
米国で、あまりに悲惨な結果をもたらした誤認逮捕の裁判が話題になっている。
ミズーリ州リパブリックのアマゾン倉庫で働くポール・エスピノーサさん(54)は2022年7月、車で職場に向かう途中に脳卒中の症状を起こした。それを目撃した同州グリーン郡保安官事務所の警察官が、飲酒運転の疑いでポールさんを逮捕。
呼気検査の結果、アルコール濃度は0.000%で飲酒の痕跡が全くなかったにもかかわらず、調べに当たった警察官らは、ポールさんがふらついたり、言語不明瞭になったりする脳卒中の症状を飲酒による酩酊と誤認。7時間以上も拘束し、適切な医療措置を受けさせなかった。
その結果、ポールさんは視力を失い、身体と精神にさまざまな障害を抱えることになり、アマゾンで働くことができなくなったのだ。
ポールさんは今年4月18日、グリーン郡保安官事務所を相手取り、故意の無関心と医療怠慢を主張する訴訟を起こした。ポールさんは裁判で、保安官事務所の「意図的な医療無視」が視力喪失と障害の直接的な原因であると主張し、関係者への処罰と損害賠償を求めている。
この悲劇は米誌ピープルが報じたこともあり、保安官事務所の誤った判断や医療対応の遅れに対する批判の声が上がると同時に、裁判の行方に注目が集まっている。