濃密なサスペンスホラー「山犬」で際立ったAKB48の個性
彼女たちを監禁したのは誰なのか。出没するセーラー服の少女(岩立沙穂=AKB48)とスキンヘッドの大男(山本光二郎=コンドルズ)の正体は……。
歌とダンスを随所に織り込みながら、チェーンソーや肉切り包丁というホラーの定番で恐怖をあおるスプラッター演劇。
サスペンスホラーに不可欠なのは恐怖に逃げまどう美少女。今回はそれをAKB48の3人が体現した。
演技経験はほとんどないというが、常に不特定多数の視線にさらされることで輝きを増すのがアイドル。その存在感と初々しさ、度胸の良さはずぬけている。淫らでダーティーなセリフも彼女たちの口から吐き出されるとキラキラした宝石に変わる。
テーマはイジメ、ハラスメントなど今日的問題をはらんでいるが、一方で少女たちの被虐性が次第に聖性を帯びてくるのが舞台の見せ場。オレノグラフィティの艶やかな演技、山本の身体パフォーマンスも特筆もの。
東京公演は池袋サンシャイン劇場(終了)、大阪公演はABCホール(6~10日)。
★★★★