20代30代は相当飲んだが…最近は湯上がりのビールもない
その甲斐あって、松平は24歳という若さで「暴れん坊将軍」(テレビ朝日系)の主役に大抜擢される。勝新に比べると、異例の早さの出世だった。
「勝さんには、同い年で大映でも1954年専属契約同期の市川雷蔵さん(31~69年・享年37)というライバルがいました。しかし、人気面では圧倒的に雷蔵さんに後れを取っていたのです」
スマートな市川雷蔵はデビュー2年目の「新・平家物語」(55年)の平清盛役で先にスターの座を駆け上がり、「炎上」(58年)の演技で人気を不動のものにした。
「勝さんが、雷蔵さんをしのぐ人気になったのは『悪名』『座頭市』シリーズがヒットした60年代に入ってからでした。勝さんは当時を振り返って、『映画はいつも雷ちゃんが主役だったが、夜の世界に来たら俺の方がスターなんだから』と話していましたね」
銀座や祇園で豪遊することにかけては松平も師匠譲りで負けてはいない。「暴れん坊将軍」で初代・大岡越前守(忠相)を演じた横内正さんも、「気心の知れた仲間とドンチャン騒ぎだった」と当時を振り返っている。