プロフィル「趣味・喧嘩」記載で格闘技のリングアナに抜擢
1966年、かゑるはキックボクシングのリングアナに起用された。当時、落語家がそういう畑違いの仕事をするのは珍しかった。
「当時はボクシングが判定ばかりでノックアウトが少なかった。その点キックはほとんどの試合がKOで決まる。沢村忠というスターが現れて、富山勝治の人気が上がって、たちまち視聴率20%を超える大人気だ。おかげで俺も顔と名前が売れたよ」
日本人選手の対戦相手のタイ人は名前が長ったらしい。それをリングアナのかゑるが巧みに紹介していたのを覚えている。
「いろんなのがいたね。ナブカプラン・クロンパチョンとか、シンサック・キットヨーテンとか。それを暗記して調子よく紹介するのが落語家の芸といえば芸だな」 =つづく
(聞き手・吉川潮)