「パラサイト」史上初の大金星 アカデミー賞作品賞のワケ

公開日: 更新日:

 映画批評家の前田有一氏がこう言う。

「正直、驚きました。今回、作品賞を争っていたのは『パラサイト』と、(作品賞、監督賞など10部門でノミネートされた)『1917』(サム・メンデンス監督)ですが、格差社会や分断という政治的メッセージの強い前者に比べ、後者は政治色の全く感じさせない作品です。古い体質のアカデミーはこれまで、大統領選が行われる年の作品賞にはミュージカルや歴史作品を選出してきたのですが、それが今回は政治色の強い映画を選んだわけです。しかも、かつて右派政権から反政府的な作風などと難癖をつけられ、国家情報院のブラックリストに入れられた経験のあるポン・ジュノ監督にも監督賞ですからね。これらが意味することといえば、米国内で“分断の象徴”と位置付けられているトランプ大統領に対する痛烈な批判ではないでしょうか。格差拡大、人種差別、分断という、いわゆるトランプ的な空気を、アカデミーが相当、嫌っているのは間違いないでしょう。いずれにしても、いろいろな意味で『パラサイト』は大金星です」

 イランなどイスラム教国7カ国の市民の入国を90日間禁止したトランプ大統領に対し、抗議声明を出したこともある映画芸術科学アカデミー。今回の痛烈メッセージをトランプ大統領はどう受け止めるのだろうか。

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