「後に残る言葉」は相手に誤解も傷も与える危険をはらむ
まず彼に送った言葉、アドバイスとやらは「感動させたいんです!」などという、むしずの走る言葉はおやめになったらということと、「恥をかく覚悟はあるのかい?」ということだった。あと、経験も。痛いとか苛立つとか、そこらへんも必要かもと伝えてもらった。と、いよいよ青年がわたくしと、じかに連絡を取りたいと言っているとY編集者からきかされ、これでもそれなりに忙しいし、新作小説の締め切りは大いに遅れているし、それなのに麦焼酎は飲むし大好きな横浜ベイスターズの試合も見るし2人の幼子を時々笑わせたりもせねばならぬのでやはりこれ、なかなか忙しいのである。と、青年がわたしのLINEアドレスを求めているという。
ご勘弁願う。「ピロリン」とLINEの着信音が鳴るたびに、心優しき編集者様からの「執筆はいかがでございましょうか」という愛と脅迫と怒りのこもったメッセージではと怯えるわたしは、極力LINEはやりたくない。なので「いちど会うか、もしくは電話で」と伝えてもらうと「ライオンさんもお忙しいと思いますので、メールアドレスを教えてください」と言ってきたという。