著者のコラム一覧
山田勝仁演劇ジャーナリスト

昭和虞美人草 高をくくり続ける日本人への“ロックな呪詛”

公開日: 更新日:

 時は1973年。代議士・甲野大吾(早坂直家)の息子である欽吾(斉藤祐一)はローリング・ストーンズやレッド・ツェッペリンに夢中で、マニアックなロック雑誌「エピタフ」を主宰。自宅の居間を編集室にしている。編集に携わるのは盟友である宗近(上川路啓志)、小野(植田真介)、浅井(細貝光司)。そこに宗近の妹・糸子(平体まひろ)も加わっていく。

 彼らを冷ややかな目で見るのは欽吾の腹違いの妹・藤尾(鹿野真央)。驕慢でシニカルで世の中のすべてに飽き飽きしているかのような高踏な女。彼女は気まぐれから小野に急接近する。小野は東大卒で将来を嘱望される優秀な人物だが、私生児であり、郷里の京都で篤志家の金山に育てられたのだ。金山の娘の小夜子(伊藤安那)といういいなずけのような女性がいる。

 しかし、小野は藤尾に魅かれていく。それを認める藤尾の母・志津子(富沢亜古)にも底意がある。2人の女性の間で揺れ動く小野に宗近が諭す。

「小野さぁ、そいつはロックじゃないぜ……」

 敗戦から二十数年、高度経済成長の絶頂からトイレットペーパー買い占め騒動という終焉(しゅうえん)に向かう時代のうねりの中で錯綜する若者たちの真情。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    元グラドルだけじゃない!国民民主党・玉木雄一郎代表の政治生命を握る「もう一人の女」

  2. 2

    深田恭子「浮気破局」の深層…自らマリー・アントワネット生まれ変わり説も唱える“お姫様”気質

  3. 3

    火野正平さんが別れても不倫相手に恨まれなかったワケ 口説かれた女優が筆者に語った“納得の言動”

  4. 4

    粗製乱造のドラマ界は要リストラ!「坂の上の雲」「カムカムエヴリバディ」再放送を見て痛感

  5. 5

    東原亜希は「離婚しません」と堂々発言…佐々木希、仲間由紀恵ら“サレ妻”が不倫夫を捨てなかったワケ

  1. 6

    綾瀬はるか"深田恭子の悲劇"の二の舞か? 高畑充希&岡田将生の電撃婚で"ジェシーとの恋"は…

  2. 7

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  3. 8

    “令和の米騒動”は収束も…専門家が断言「コメを安く買える時代」が終わったワケ

  4. 9

    長澤まさみ&綾瀬はるか"共演NG説"を根底から覆す三谷幸喜監督の証言 2人をつないだ「ハンバーガー」

  5. 10

    東原亜希は"再構築"アピールも…井上康生の冴えぬ顔に心配される「夫婦関係」