<166>田辺市の決算書に記載されていない野崎さんとの土地取引
2019年秋に田辺市は、野崎幸助さんが残したとされる遺言を受け入れると表明した。それ以降、私は徹底的に野崎さんが所有していた物件を洗っていた。
そこで引っかかったのが、複合商業施設「オーシティ」の駐車場内にある土地の売買だった。この土地の登記を取ると、驚愕すべき事実が分かった。
オーシティの一画を占めていた土地は16年6月24日に、オーシティを所有する地場のスーパー「オークワ」に売買されていたのだ。同社は同28日付で、土地の登記も完了していた。
ドン・ファンは私にこの土地について「田辺市に売った」と明言していたし、私は田辺市からの振り込みが記載された通帳のコピーも見ている。
■不可解なカネの流れ
これは一体どういうことなのだろうか? オークワに売ったとは聞いていなかったのだから、疑問は膨らんだ。
私の手元にはドン・ファンの通帳十数冊のコピーがある。オークワが土地を購入したのなら、同社からの入金記録が残っているだろうと通帳を調べてみたが、そのような記録はなかった。そうするとオークワは、まさか現金で取引したのだろうか?