宮本笑里がデビュー15周年 「父に厳しくされていた悔しさをバネに、演奏してきました」
今年、デビュー15年を迎えたバイオリニスト、宮本笑里が15周年記念アルバム「classique deux(クラシーク・ドゥ)」をリリースした。
■父は「おまえはすぐに音楽業界からいなくなる」と
「クラシックの小曲を12曲レコーディングしました。4年前の作品、『classique』の第2弾です。こういう作品を発表できるとは、デビューの頃は思いもしませんでした。師でもある父に、おまえはすぐに音楽業界からいなくなる、と言われてきましたから」
彼女の父親は宮本文昭。指揮者で、オーボエ奏者で、東京音楽大学教授でもあったレジェンドだ。
「父に厳しくされていた悔しさをバネにして演奏してきました。それでもデビューして10年くらいは、全曲クラシックのアルバムをレコーディングするのは怖かったんですよ。技術や心を見透かされると思っていました」
「classique deux」は、ドビュッシーの「亜麻色の髪の乙女」、ホルストの「木星」、バッハの「G線上のアリア」など、誰もが聴いたことのある曲がズラリ。宮本の演奏には細い体からは想像できないほど力を感じる。それでいて、バイオリンは彼女の声であるかのように楽しそうに歌う。
「父はいつも、楽器ではなく、歌でメロディーやニュアンスを私に伝えて指導してくれました。自分の喉に手を当ててビブラートを利かせるような工夫をしながら。そのおかげで、歌うような演奏が身に付いたのでしょう。父がいたから今の私があると感じています」