森山直太朗×内田也哉子 NHK「オチビサン」主題歌制作秘話【特別対談/前編】

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 深夜アニメ「オチビサン」(NHK総合)が大人の間で人気になっている。どこか懐かしい日本の原風景や、季節の風情をオチビサンの目線を通して描く物語がエモいと評判だ。原作は「働きマン」などファッショナブルなコミックで一世を風靡した安野モヨコ。今回、アニメの主題歌「ロマンティーク」を作曲・歌唱した森山直太朗(47)と作詞を担当した内田也哉子(48)が自身の人生を重ねつつ、作品の魅力を語った。

  ◇  ◇  ◇

 ──主題歌のお話をいただいていかがでした?

森山 当初「日本の四季やノスタルジーを僕なりの世界観で描いてほしい」とオファーをいただきました。オチビサンは(安野)モヨコさんが慣れ親しんだ街並みを思い浮かべながら、淡々と時と景色が流れる、凄く優しい“愛そのもの”みたいな作品です。実はご自身が多忙で疲れていた時期に“自分で自分を癒やすため”に描いていたそうで、いつもエネルギッシュな一面というか、それまでの系譜とは違っていたので、読んで僕も新鮮でした。この世界観を描くにあたり、自分で作詞するよりも、也哉子さんにお願いしたら言葉の部分でリンクして新たな化学反応が起きるかなと思い、お頼みしたんです。そしたら、二つ返事で引き受けていただいて。

内田 そもそも直太朗さんはアーティストとしてはもちろんのこと、詩人だし、ストーリーテラーなので、そんな方に私が差し出せるものなどないとうろたえたんですけど「ガチガチにAメロ、Bメロ、サビなんて考えなくていいから、散文でいいから思い浮かんだものを出してみて」って言ってくださって。このタイミングで、この作品でお話をいただくことに意味があるに違いない、素直に受け取るのが今後の人生に役に立つと思ってお引き受けしました。

森山 歌詞を書いたことは?

内田 20代の頃にバンドをやっていまして、友達の作る曲に英語やフランス語で詞を乗せていくことはしていましたが……。曲がない中で、言葉だけ出すのは全然違ったアプローチでした。

森山 曲先行だったんだ。

■「日本語に縛られなくていいんじゃない?」

内田 オチビサンの原作を読んだら、エピソードによっては英訳が入っていたり、ミクロの世界の物語ながらなんとも言えない世界観、宇宙観があって、直太朗さんからも「日本語に縛られなくていいんじゃない?」と言っていただいたので、あえて英語やフランス語を交ぜ込みました。直太朗さんが歌う時にアレンジしやすいように仏語部分の音声データを携帯で送ったら、私の声がそのまま楽曲に入っていて。よりコラボさせていただいた感じになりました。

森山 僕的には、セルジュ・ゲンスブールの曲でジェーン・バーキンがつぶやいてるイメージだったんですよ。あれは色っぽいけど。

内田 私のは教材みたいな音声だけど、そんなイメージだったんだ!

森山 実は、一緒に曲を作って以来、久しぶりにお会いするので、お互い感想を聞くのも初めてなんです。

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