著者のコラム一覧
碓井広義メディア文化評論家

1955年長野県生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。千葉商科大学大学院政策研究科博士課程修了。博士(政策研究)。81年テレビマンユニオンに参加。以後20年、ドキュメンタリーやドラマの制作を行う。代表作に「人間ドキュメント 夏目雅子物語」など。慶應義塾大学助教授などを経て2020年3月まで上智大学文学部新聞学科教授。専門はメディア文化論。著書に「倉本聰の言葉―ドラマの中の名言」、倉本聰との共著「脚本力」ほか。

9年ぶり復活「花咲舞が黙ってない」、今田美桜に漂う正義感だけではない強い憤り

公開日: 更新日:

 第1シーズンの放送が2014年、第2シーズンはその翌年だった。「花咲舞が黙ってない」(日本テレビ系)が9年ぶりの復活である。

 銀行本店が問題を抱えた支店を指導する「臨店班」。そこに配属された花咲舞が水面下の不祥事や悪事に立ち向かう。最大の武器は、たとえ相手が上司であっても、間違ったことや筋の通らないことには、「お言葉を返すようですが!」と一歩も引かないガッツだ。

 新シーズンでは、かつて杏が演じた舞は今田美桜に。臨店班の先輩・相馬も上川隆也から山本耕史にバトンタッチした。しかし、ドラマの基本構造は変わっていない。

 第1話では、立場を利用して顧客から裏金を得ていた支店長をやり込めた。そして第2話では、顧客の機密情報をライバル社に流すことで、有利な再就職をもくろんだ中年行員にストップをかけた。

 いずれの場合も、舞は正義感だけで相手を“成敗”するわけではない。そこには、立場の弱い者や抑圧されてきた者に対する共感からくる、強い憤りがあるのだ。「私もこの銀行が正しいとは思っていません」と舞。だが、「銀行員としての道を踏み外してやったことは、働いている全ての行員を侮辱する裏切り行為です!」と言い切った。

 そんな舞を「不祥事隠蔽」の道具として扱う、執行役員(要潤)たちの存在も物語に適度な緊張感を与えている。

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    無教養キムタクまたも露呈…ラジオで「故・西田敏行さんは虹の橋を渡った」と発言し物議

  2. 2

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  3. 3

    吉川ひなのだけじゃない! カネ、洗脳…芸能界“毒親”伝説

  4. 4

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  5. 5

    竹内結子さん急死 ロケ現場で訃報を聞いたキムタクの慟哭

  1. 6

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 7

    木村拓哉"失言3連発"で「地上波から消滅」危機…スポンサーがヒヤヒヤする危なっかしい言動

  3. 8

    Rソックス3A上沢直之に巨人が食いつく…本人はメジャー挑戦続行を明言せず

  4. 9

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 10

    立花孝志氏『家から出てこいよ』演説にソックリと指摘…大阪市長時代の橋下徹氏「TM演説」の中身と顛末