加藤鷹さん 台湾発アダルトメディア「SWAG」と契約、現地は「80年代の日本のAV黎明期」
少子高齢化が進む日本の市場は今後更に先細りすることも予想される。引退決意に際してそれらの影響もあったのか。
「秋田で日立という大手電機メーカーにいた時も、秋田ビューホテルに転職した時も、田舎を捨てて上京して、たまたま出合ったAV業界に足を突っ込んだ時も、自分の中では同じ一本の線路で。要は電車を乗り換える時期だったということです。俺のことを先見の明があるなんて言う人もいるけど、自分が今何をすべきかを常に理解し、行動してきた自負があります」
そんな一本筋の通った人生を歩んできた加藤さんにとっても大きな転機となったのが、11年、東日本大震災の年の父の死だった。
「元々警察官で、引退後は行政書士の仕事をしたり頑固で真面目な父親だったんですけど、晩年は毎日テレビの前に座ってお茶飲んで、ご飯食べて寝て……の繰り返しで」
そんな姿を見て、このまま続けてていいのか、やり残したことはないかと自問自答したという。
「それに、AV業界でセカンドキャリアで成功した人って誰かいます? いないんですよ。だからこそ俺は、80年代の日本AV黎明期のような今の台湾で、その歴史を知る者として役に立ちたいし、ぜひ俺を利用してください、という思いですね」
“今はとにかくSWAGをデカくしたい”と熱く語る加藤さんの目は、「秘技伝授」のジャケット写真のような強い意志と輝きに満ちあふれていた。
(取材・文=杉田俊人)