出血の様子に注意! 痔と思ったら「大腸がん」の可能性も
「また、痔(じ)の悪化か」
Aさん(55)はトイレでため息をついた。便器の中で浮く便に血がところどころ混じっているのがはっきりと分かる。
Aさんは20年来の痔主だ。痔には痔核(イボ痔)、裂肛(切れ痔)、痔ろう(あな痔)の3つがある。Aさんは裂肛。発症当時は頻繁に肛門からの出血を繰り返していたが、この10年は妻が作る野菜中心の食事と朝晩のウオーキングで排便がスムーズになり、痔の症状は安定していた。
ところが1年前に離婚。外食中心になった途端、便秘を繰り返すようになり、最近は便に血がよく混じるようになった。裂肛特有の排便時の激しい痛みはなかったので、病院には行かず、市販薬で様子を見ていた。
そんな生活が半年ほど続いた頃、会社の健康診断で、大腸がんを調べる便潜血反応が陽性という結果が出た。
病院での2次検査で、大腸がんのひとつであるS字結腸がんが分かった。
「痔の悪化ではなく、がんによる出血だったと思います」と医師から指摘を受けた。