演歌歌手 原田悠里さん(60) 食いしばり由来の難聴
そんな時、歯茎の腫れの治療で飛び込んだのが、田町の長坂歯科です。今は噛み合わせの名医で有名ですが、たまたま駅の近くにあったので、歯茎の腫れを治してもらうために受診したのです。
長坂先生は歯の診察もせず、いきなり大きなヘッドホンを着用するように指示し、聴力検査を始めた。こちらは歯を治したいのに、「一体何をするんだろう」と。
難聴と左右の聴力のバランスの悪さを指摘され、先生はその場で右側でグッと噛むように指導されました。ほんの数分で顎から耳の辺りが緩み、口の開け閉めがフワッと軽くなった。この時、自分に必要な治療をしてくれるのはこの先生だ、と思いました。
難聴の原因は左側だけを噛み続ける「食いしばり」。思い返すと、仕事が増えてうれしい半面、忙しさと自分を求めてくれるお客さんに少しでもいいステージを届けようと思うプレッシャーから、体は緊張状態が続いたままでした。それで、無意識に食いしばりをしていたんです。
当時、撮影した写真は左頬ばかり。食いしばっている左側はシャープで、アゴのちょうつがいの部分にボコッと骨が飛び出ていました。逆に、右側はふっくら、やや二重あごになっていた。カメラマンさんが撮る私は、左頬がベストだったんですよね。