「貧乏ゆすり」は悪癖にあらず 長時間座位の死亡リスク減少
貧乏ゆすりには、そうしたさまざまなリスクを減少させる可能性があるのだ。
「足を小刻みに揺らす貧乏ゆすりは、足の筋肉を収縮・弛緩させ、血流を促す行動ともいえます。座ったまま足を動かさないことによって生じる悪影響を解消する働きがあることも考えられます」(辛院長)
貧乏ゆすりの“効果”については、他にも数多く報告されている。合計2時間半の貧乏ゆすりをしていると、200キロカロリーを消費するという研究がある。これは、世界保健機関(WHO)が肥満予防のために推奨している「1日当たりで余計に消費すべき量」に相当するという。
中京大学体育学部の湯浅景元教授は、実験によって「貧乏ゆすりを3分間続けると、ふくらはぎの温度が1度上昇する」ことを確かめた。これは、ウオーキングを20分続けるのと同じ効果で、冷え性の対策にもなるという。
さまざまな病気のリスクを下げるためには、「1時間座り続けたら、いったん立ち上がるだけでも効果がある」(辛院長)というから、意識して貧乏ゆすりをする必要はない。しかし、貧乏ゆすりのクセがある人は、健康のことを考えたら、無理にやめなくてもいいのだ。