著者のコラム一覧
青島周一勤務薬剤師/「薬剤師のジャーナルクラブ」共同主宰

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

妊婦はジャガイモの食べ過ぎに注意

公開日: 更新日:

 妊娠中に血糖値が高くなると、「妊娠糖尿病」と診断されることがあります。妊娠糖尿病では、胎児の体重がとても増えてしまったり、流産の危険が高くなることが知られています。日本産科婦人科学会のホームページによれば、妊婦さんの7~9%で妊娠糖尿病と診断されることがあるようで、決してまれなことではありません。

 ある研究によると、ジャガイモの摂取が多いと糖尿病になりやすいことが示されています。ジャガイモの主成分はデンプン(糖分の塊)なので、血糖値が上がりやすい食材のひとつと考えられます。

 そんな中、イギリス医師会誌2016年1月電子版に、「妊娠前のジャガイモ摂取と妊娠糖尿病リスクの関連」を検討した論文が掲載されました。この研究は慢性疾患や妊娠糖尿病経験のない1万5632人の女性(平均約32歳)を対象としました。ジャガイモの摂取量は、「週に1食未満」「1食」「2~4食」「5食以上」の4つのカテゴリーに分類し、週に1食未満を基準として他のカテゴリーに対する妊娠糖尿病のリスクを検討しています。

 年齢やBMIなど結果に影響を与え得る因子で補正後、妊娠糖尿病のリスクは週に1食未満に比べて、2~4食では27%、5食以上では50%、統計的にも有意に増加しました。もちろん、明確な因果関係を決定づけるものではありませんが、ジャガイモ摂取量が増えるとリスクも増加している点は何らかの関係が示唆されます。

 この研究では、ジャガイモを他の野菜や豆類などに置き換えると、そのリスクが9~12%低下する可能性も示されています。

 妊娠中のジャガイモ摂取はほどほどにしておいた方がいいのかもしれません。

【連載】役に立つオモシロ医学論文

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    八村塁が突然の監督&バスケ協会批判「爆弾発言」の真意…ホーバスHCとは以前から不仲説も

  2. 2

    ヤンキース、カブス、パドレスが佐々木朗希の「勝気な生意気根性」に付け入る…代理人はド軍との密約否定

  3. 3

    「終わらない兵庫県知事選」の行方…新たな公選法違反疑惑浮上で捜査機関が動く“Xデー”は

  4. 4

    楽天・田中将大は今や球団の「厄介者」…大幅負け越し&パワハラ関与疑惑に年俸2億円超ダウン

  5. 5

    斎藤元彦知事ヤバい体質また露呈! SNS戦略めぐる公選法違反「釈明の墓穴」…PR会社タダ働きでも消えない買収疑惑

  1. 6

    斎藤元彦知事が百条委トンズラで大誤算!公選法違反疑惑に“逃げの答弁”連発も「事前収賄罪」の可能性

  2. 7

    楽天・田中将大に囁かれていた「移籍説」…実力も素行も問題視されるレジェンドの哀れ

  3. 8

    《小久保、阿部は納得できるのか》DeNA三浦監督の初受賞で球界最高栄誉「正力賞」に疑問噴出

  4. 9

    エースの留年が影響か?昨夏王者・慶応まさかの県大会16強敗退…文武両道に特別扱い一切なし

  5. 10

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇