末期膵臓がんにかかった「作務衣の医師」 最後の提言とは
日本では明治以降、医療と仏教の関係が破壊され、スピリチュアル・ケアが置き去りにされた。
「しかし、欧米では違います。医療施設にスピリチュアル・ケアワーカーがいることが常識。バチカンには、計8年間のスピリチュアル・ケアワーカーの資格取得・育成制度がある。また、ケアワーカーがいなければ病院設立許可が下りません。イタリアでは100床に1人が必要とされています」
いまの日本は、スピリチュアル・ケアワーカーどころか、身体的痛みを緩和するオピオイド鎮痛剤使用も麻薬規制で普及しない。
「今年に入り、スピリチュアル・ケアの普及と質的向上をめざし、宗教関係者らが『日本臨床宗教師会』を創設しました。日本のがん治療がサイエンスのみからスピリチュアル・ペインのケアへの広がりの一歩になればと期待しています」