著者のコラム一覧
青島周一勤務薬剤師/「薬剤師のジャーナルクラブ」共同主宰

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

酒を飲まない「休肝日」は週に何日が妥当なのか

公開日: 更新日:

 アルコールは肝臓で代謝されるため、連日の飲酒は肝臓に負担をかけるといわれています。そのため、飲酒習慣のある人は、お酒を飲まない“休肝日”を設けることが健康に良いと考えられています。

 では、休肝日の頻度はどのくらいで設定することが望ましいのでしょうか。週に2日が良いとか、週に1日でもOKというような情報もありますが、その根拠について語られることは少ないように思います。

 米国の疫学専門誌(2007年5月号)に、飲酒頻度や飲酒量と死亡のリスクを検討した前向きな観察研究が報告されています。この研究は40~69歳の日本人8万8746人を対象に、飲酒頻度、飲酒量(アルコール換算量、例えばビール633ミリリットルのアルコール量は23グラム)についてアンケートを行い、平均で11.9年、追跡調査したものです。なお、休肝日に関する解析は、このうち男性のみ(4万1702人)を対象に検討されています。

 その結果、飲酒量が週に300グラム未満の人では、飲酒頻度が月に1~3回の人と比較して、週に1~2日の人、週に3~4日の人、週に5~7日の人、いずれにおいても死亡のリスクに明確な差は見られませんでした。ところが、飲酒量が週に300グラムを超えると、週に4日以下の人は死亡のリスクが変わらない一方で、週に5~7日の飲酒では、1.29倍(飲酒量300~449グラム/週)~1.55倍(飲酒量450グラム以上/週)、統計的にも有意に死亡のリスクが増加しました。

 毎日飲酒をしない人は、飲酒以外にも健康に配慮している可能性が高く、この結果が因果関係を決定づけるものではありません。ただ、この論文結果に基づけば、飲酒習慣のある人は、休肝日を2日以上設けた方が良いかもしれません。

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