客観的根拠なく診断困難…“エセうつ病”で注意すべきこと
言い換えれば、治療がうまくいっていると患者側が感じられず、受診時に精神症状だけを問われたようであれば、その診断は正確ではないかもしれないのだ。
■本当にうつ病か
うつ病と診断され、適切な治療をきちんと受けているにもかかわらず、症状がなかなか改善されない場合は、別の疾患かもしれない。
特に意識したいのが、女性の更年期障害と双極性障害だ。
「まず、更年期障害を発症しやすい年齢は、うつ病を発症しやすい年齢でもあります。しかも、症状が似通っている。次に、双極性障害はうつ状態と躁状態を繰り返す疾患で、躁状態が派手でなく期間が短いタイプでは躁状態が見逃され、うつ病と診断されるケースが少なくないのです」
いずれも、治療法は異なる。更年期障害の治療はホルモン療法や漢方薬などを用いるが、それらはうつ病には効かない。
双極性障害に至っては、治療戦略の間違いが深刻な結果をもたらしかねない。近年、抗うつ薬を用いることで双極性障害がより悪化するという報告があるのだ。