モーツァルトを聴くと血圧が下がる?
音楽を聴くことは、「睡眠障害」や「うつ症状」、あるいは「痛み」の軽減など、人体にさまざまな影響を及ぼすことが分かっています。音楽療法という治療方法も存在します。音楽は「血圧」や「心拍数」などにも影響を与えることが分かっています。しかし、音楽のジャンルによって、人への影響は異なるものなのでしょうか。
2015年12月、ベルギーの「循環器学会誌」に音楽と血圧に関する興味深い論文が掲載されました。心筋梗塞を発症し、救急診療部を受診した60人(平均約60歳)が対象です。モーツァルトを聴くグループ20人、ビートルズを聴くグループ20人、ラジオニュースを聴くグループ20人をランダムに割りふり、血圧の下がり具合を比較しました。ちなみにこの研究における選曲は、ビートルズは「レット・イット・ビー」「ヘイ・ジュード」「イエスタデイ」など往年の名曲27曲、モーツァルトは「ピアノソナタ第11番」など8曲が選ばれています。
研究開始時からの収縮期血圧(上の血圧)変化は、モーツァルトを聴いたグループで7.2mmHg低下しましたが、ビートルズを聴いたグループでは1.3mmHgの低下にとどまりました。モーツァルトを聴いていたグループの血圧低下度は、ビートルズを聴いていたグループの血圧低下度と比べて統計的にも有意に低いという結果でした。なお、ラジオニュースを聴いていたグループでは血圧が低下することはありませんでした。
音楽を聴くことに何か副作用があるわけでもありませんので、血圧が高めの人はたまにはクラシックを聴いて、ゆっくりとした時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。