ストレス解消や胃酸中和も 「歯ぎしり」に多くのメリット
「寝ている間に胃酸が逆流すると歯が溶け、歯茎にダメージを受けます。それを阻止するため、歯ぎしりで反射的に唾液を出して胃酸を中和している、という報告があります。胃酸が喉まで逆流していなくても、食道に酸の刺激があれば歯ぎしりが起きます。逆流性食道炎の治療薬であるプロトンポンプ阻害薬を投与すると歯ぎしりが減ったとの研究もあります」
飲酒は逆流性食道炎を起こしやすいといわれる。胃に入った食べ物が食道に戻らないようにフタをする下部食道括約筋の働きを緩くするからだ。同じく飲酒が歯ぎしりを増やすのはその証拠だ。
とはいえ、歯ぎしりをする時の歯への負担はすさまじい。20~30歳の一般的な男性の場合、1本の歯の噛む力は奥歯で約60キロ。ところが、歯ぎしりだと倍以上の負担がかかるといわれている。中には、ライオン並みの300キロ近い人もいるという。これでは歯が壊れるのも当然だ。
「起きているとき以上に歯に負担がかかるのは悪い歯ぎしりで、そうでないのは良い歯ぎしりといえます。その見分け方は、口の中を見れば分かります。骨隆起といって、上顎や下顎に骨の盛り上がりがある場合、歯茎との間の歯にくさび状のひび割れがある場合は、歯に強い負担があるということです。また、朝起きた時に、顎が疲れている人も要注意です」
心当たりのある人は歯科医と相談して、マウスピースを作るなど、対策を練ることだ。