エビデンスがすべてでいいのか? 信じれば偽薬も効果発揮

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 そうした厳しいルールの下で得られた「科学的根拠に基づく医療」に信頼があるのは当然です。しかし、医療をすべてこの言葉で片付ける風潮には違和感があります。

 薬の中には「科学的根拠のない薬」というものが少なからず存在します。医師の経験から投与され続けている薬で、その薬理効果を裏付けるハッキリした研究がないケースもあるのです。薬が開発された時代にそうした研究がなされなかったし、それ以降も裏付ける研究をするメリットがなかったなど、さまざまな理由があります。しかし、そうした薬は科学的根拠が乏しいから、薬を飲むのをやめたとしたら、患者さんが不利益を被ることもあると思うのです。

 例えば、治療するにはその薬しかなく、信頼度の高い臨床実験が行うには人道上の問題があり、証明しづらいケースです。その場合、エビデンスが低いので飲むのをやめるとしたら、どうでしょう。患者さんにとってプラスではないのではないでしょうか?

 患者さんが「良い」と思えば効果が出る場合があります。「医師が脈を取る」「医師が話を聞く」。それだけで患者さんの症状が改善することもあるのです。本来、薬は人間が持っている病に対する治癒能力を引き出すためのもの。その意味ではプラセボ効果もまた、立派な医療だと思うのですが……。

【連載】当事者たちが明かす「医療のウラ側」

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