インフルエンザや風邪が引き起こす心筋症にご用心
また、心筋症を発症して1週間前後の急性期に「非ステロイド性消炎剤」を服用すると、心筋細胞の破壊が進んで極めて症状が悪化し、劇症型心筋症になって突然死する場合があります。市販の総合感冒薬にも含まれている成分なので、自己判断で服用し続けるのは危険です。
心筋症の治療は、まずは安静にすることと、薬物治療が行われるのが一般的です。拡張型心筋症に対しては、心機能が低下し始めた早期であればACE阻害薬やβ遮断薬が効果的です。いずれも、ホルモンの分泌を抑えて心臓の負担を軽減し、心不全を抑えます。
■破壊された心筋細胞は元に戻らない
他にも、アンジオテンシン受容体拮抗薬やアルドステロン受容体拮抗薬など、有効な薬がいくつもあります。むくみの症状を軽くするために利尿薬を使用したり、動悸や脈の乱れを抑える不整脈の薬が使われるケースもあります。症状によって、有効な薬も変わってくるので、担当医としっかり相談しましょう。
薬物治療で心不全や不整脈の症状が改善しない場合は、ペースメーカーの埋め込みや外科手術が検討されます。心筋症で心不全になると飲み薬が効きにくくなるため、点滴によって強心剤や利尿剤といった薬を投与することになります。その状態を繰り返すようになった段階で、手術を行うかどうかを考えるのが一般的です。