味噌汁の摂取は血圧に悪いのか
「血圧が高い人は、塩分を控えたほうがよい」と言われることも多いのではないでしょうか。一方で、日本人にとって主要な塩分摂取の要因は味噌汁でしょう。
一般的には塩分が濃いと思われている味噌汁を毎日食べることは、高血圧の人にはよくない生活習慣という印象があります。
そんな中、日本人を対象に、味噌汁を食べる頻度と血圧の関連を検討した研究が日本内科学会誌(英文誌)2017年1月号に掲載されました。
この研究は、病院で健康診断を受けた50~81歳の527人(平均60.4歳)を対象としたアンケート調査です。味噌汁の摂取頻度が週に「1杯未満」「4杯未満」「7杯未満」「7杯以上」の4グループで被験者を分類し、各グループ間で血圧の値を比較検討しました。さらに、味噌汁の摂取と高血圧の発生率に関しても検討されました。なお、解析に当たっては、結果に影響を与え得る、年齢、性別、高血圧治療状態、喫煙習慣などの因子で統計的に補正しています。
その結果、味噌汁の摂取頻度と血圧に関連性は認められませんでした。収縮期血圧(上の血圧、単位はmmHg)は週に1杯未満で130.5、週に4杯未満で131.2、週に7杯未満で129.9、週に7杯以上で126.7と、各グループ間で統計学的にも明確な差はありません。さらに、味噌汁の摂取と高血圧の発生率にも関連性は認められませんでした。
アンケート調査であり、因果関係を検討するような研究ではないため、味噌汁を食べる習慣と血圧上昇に何ら関係がないと結論付けることもできません。ただ、適度な摂取においては、味噌汁が血圧の上昇に大きな影響を与えない可能性はあるかもしれません。