科学的に「がんにならない方法」は本当にあるのか?
同級生の息子さんが胃がんで亡くなりました。通夜の帰り道、酔った同級のA君がこう言い出しました。
「おまえ、がんが専門だよな。がんにならない方法を教えてよ。酒はどれだけ飲んだらがんになるんだ? たばこは何本吸ったらいけないんだよ!」
がんにならない方法、そんなうまい話は本当にあるのか? それが分かっていたら、こんなにがんで亡くなる人はいないはずではないか。
世間には「がん予防法」があふれていますが、信頼の置けないものも少なくありません。科学的根拠がはっきりしたがんになるリスクを減らす、がんを遠ざけるその方法を挙げてみます。
まず、たばこをやめることです。「喫煙」は明らかにがんのリスクを高めることが科学的に立証されています。私がこれまで治療の相談を受けた舌がん、咽頭がん、食道がんの患者さんのほとんどは喫煙者でした。また、肺がん、食道がん、口腔がん、大腸がん、乳がんその他、多くのがんとの関連も指摘されています。
次に、「ウイルスや細菌の感染」からの発がんも科学的に示されています。主なウイルスでは、肝臓がんと関連するB型、C型肝炎ウイルス、子宮頚がんのヒトパピローマウイルス、白血病の成人T細胞白血病ウイルス。細菌では胃がんの一因になるヘリコバクター・ピロリ菌が挙がります。対策としては感染を避ける・防ぐ、あるいはワクチンの投与、治療薬の投与があります。