糖尿病性心筋症は動脈硬化が進んでいなくても発症する
糖尿病が心臓疾患の重大なリスク因子であるということは、これまでたびたび取り上げてきました。糖尿病の人は、そうでない人に比べて男性で2倍、女性で3倍も心筋梗塞の発生頻度が高く、死亡率も1.5~3倍ほど高くなるという報告もあります。
高血糖の状態が続くと全身の血管がダメージを受けます。それが長期にわたると血管がボロボロになり、動脈硬化が促進されます。また、血糖が高いとコレステロール値が高くない人でも血管内にプラークができやすくなります。プラークが剥がれると修復するために血小板が集まって血栓を作り、それが動脈硬化で血流が悪くなっている冠動脈に詰まって、心筋梗塞や狭心症を引き起こすのです。
しかし近年、高血糖による動脈硬化とは関係なく、糖尿病そのものが心臓疾患の要因になるケースが注目されています。「糖尿病性心筋症」と呼ばれるもので、冠動脈の状態がそれほど悪くなくても、心臓の筋肉がどんどん傷んでしまって心機能が低下する病気です。
うっ血性心不全で病院に運ばれ診察してみたら、実は糖尿病を抱えていたという患者さんを診たこともあります。