糖尿病性心筋症は動脈硬化が進んでいなくても発症する
心筋肥大や線維化、心臓の拡張機能に障害を起こし、最終的には心不全に至るのが典型的なパターンで、突然死につながるケースもあります。
糖尿病の影響で血管が傷んでいると全体的に血流が乏しい状態になります。すると、心臓はなるべく活発には動かないように“さぼる”ようになります。さぼればさぼるほど心筋はどんどん衰えていき、さらには狭心症や心不全の発症を助長してしまうのです。
■高血糖が心臓疾患を引き起こす2つのケース
なぜ、糖尿病が動脈硬化を介さずに心筋症を引き起こすのか。その機序については、まだはっきりしたことは分かっていませんが、糖尿病による高血糖やインスリン抵抗性から派生する脂肪毒性、心筋細胞死、酸化ストレス、ミトコンドリア機能不全、微小血管障害などが関与して、心筋の機能や構造の障害が生じると考えられています。
高血糖状態を放置していると、徐々に心筋が衰えて心機能が低下し続け、気づかないうちに心不全などを招く場合があるのです。
つまり糖尿病には、動脈硬化を促進して冠動脈疾患につながるケースと、動脈硬化がそれほど進んでいない状態でも心筋症を引き起こすケースという2つの心臓疾患リスクがあるということになります。