著者のコラム一覧
青島周一勤務薬剤師/「薬剤師のジャーナルクラブ」共同主宰

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

認知症の発症リスク2倍 寝すぎは脳の老化を招くの信憑性

公開日: 更新日:

 適度な睡眠は認知能力を高めるうえで大切なことのように思えます。一般的には、睡眠不足が続くと記憶力が低下するイメージがあるのではないでしょうか。

 睡眠時間と認知症の発症リスクや、脳の老化現象の関連を検討した論文が、「米国神経学会誌」(2017年3月号)に掲載されました。この研究はフラミンガム心臓研究という、世界的にも有名な疫学研究に参加した人たちの登録データを解析したものです。

 解析の対象となったのは2457人で、平均年齢は72歳でした。研究参加者の睡眠時間は自己申告により、6時間未満の短時間グループ、6~9時間のグループ、9時間を超える長時間グループの3つに分類され、認知症の発症や、脳の容積などが比較されています。

 10年間以上にわたる追跡調査の結果、睡眠時間が6~9時間のグループに比べて、9時間を超えるグループでは、認知症の発症リスクが約2倍、統計学的にも有意に増加していることが示されました。

 このような認知症発症リスクの増加は、特に軽度認知機能障害(認知症の前段階)だった人で約2・8倍、高学歴でなかった人で約6倍と、大きく増加していました。さらに、睡眠時間が4~6時間のグループに比べて、9時間を超えるグループでは、脳容積や、思考・行動などをコントロールする機能(実行機能)の低下が認められました。

 認知症の発症要因は多岐にわたり、長時間睡眠が認知症を引き起こすかどうかについて、この研究結果だけで結論付けることは難しいと思います。しかしながら「寝すぎは脳の老化を招く」ということは、あながち否定できないかもしれませんね。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    元グラドルだけじゃない!国民民主党・玉木雄一郎代表の政治生命を握る「もう一人の女」

  2. 2

    深田恭子「浮気破局」の深層…自らマリー・アントワネット生まれ変わり説も唱える“お姫様”気質

  3. 3

    火野正平さんが別れても不倫相手に恨まれなかったワケ 口説かれた女優が筆者に語った“納得の言動”

  4. 4

    粗製乱造のドラマ界は要リストラ!「坂の上の雲」「カムカムエヴリバディ」再放送を見て痛感

  5. 5

    東原亜希は「離婚しません」と堂々発言…佐々木希、仲間由紀恵ら“サレ妻”が不倫夫を捨てなかったワケ

  1. 6

    綾瀬はるか"深田恭子の悲劇"の二の舞か? 高畑充希&岡田将生の電撃婚で"ジェシーとの恋"は…

  2. 7

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  3. 8

    “令和の米騒動”は収束も…専門家が断言「コメを安く買える時代」が終わったワケ

  4. 9

    長澤まさみ&綾瀬はるか"共演NG説"を根底から覆す三谷幸喜監督の証言 2人をつないだ「ハンバーガー」

  5. 10

    東原亜希は"再構築"アピールも…井上康生の冴えぬ顔に心配される「夫婦関係」