早期ではほとんど症状が表れない 食道がんの知識と生存率
手術を受ける前に、まずは衰えた体力をつけなければなりません。栄養状態をよくするため、左上胸部から中心静脈に管を入れ、太い静脈から高カロリーの栄養剤を投与して体調を整えました。
ある程度の体力を取り戻したあと、約10時間の手術が行われました。
頚部リンパ節の郭清と食道がんの切除後、胃を持ち上げての食道再建が行われました。術後、肺炎を起こすトラブルが起こりましたが、それを乗り越え、病状が落ち着いたところで放射線・化学療法に臨みました。
現在、Sさんは「たばこも酒も、あんなもの、全く欲しくない」と笑って話されます。すでに2年が経過し、痩せたままですが再発なく過ごされています。
食道は口から胃に食べ物を送る管で長さが約25センチあります。食事が通過するところですから、食道がんでは、「ものがつっかえた感じがする」「胸焼けがする」といった症状が表れます。しかし、早期がんの場合はほとんど症状がないことが多いので、それだけで安心はできません。