半年以内に9割を鑑別 イタリアの名探偵コナンと呼ばれる男
「失神が適切に診断されないと、不整脈を伴う危険性の高い心原性失神(全体の約30%)が見逃される可能性があります。実際には反射性失神が最も多い(同約50%)が、リスクが低いので受診しても『心配ない』や、診断がつかなくて『異常なし』と言われて、きちんと医療が介入できていないことも問題です」
心原性失神では、ペースメーカーや除細動器の植え込み、カテーテルアブレーション、内服薬などの治療が必要。リスクの低い非心原性失神でも、生活指導を基本に失神を防ぐ回避法や訓練法の治療法がある。
■日本には100カ所程度の専門施設が必要
失神の鑑別にはさまざまな検査が行われるが、同センターの診断率は2カ月(来院2~3回)で70%、入院検査が必要でも半年以内に90%は診断がつくという。
「診断がつかないケースが10%ありますが、いずれも頻度が少なくリスクの低い失神です。危険性が少ないことを丁寧に説明することで、ほとんどの患者さんは不安から解放されます」
古川センター長が失神診療に精通するのは、イタリアの病院に留学経験があるからだ。欧州の一部の国の医療機関には、失神を専門とする医師が在籍する「失神専門診療ユニット(SU)」が存在し、失神診療の標準化が進められている。そのSUを最初につくったブリニューレ医師のもとでじかに学んでいる。