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中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

全摘なら8時間手術 食道がんで化学放射線療法を選ぶ理由

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 そうすると、胃の働きが失われます。王貞治さんが胃がん手術後、激ヤセされましたが、食道がんの手術後も体重が大きく減ります。指揮者の小澤征爾さんは15キロも減り、「着られる服がなくなった」とこぼしたそうです。

 効率よく栄養を吸収できるように食べ物を一時的にためて、少しずつ小腸へ送り出すのが、胃の働き。それが損なわれ、激ヤセするのです。食道がんの手術から復帰した歌手の桑田佳祐さんが“ちょいヤセ”で済んだのは、珍しいケースでしょう。

■早期発見には年1回の内視鏡検査が一番

 この点、放射線治療と抗がん剤を同時に行う「化学放射線療法」では、食道や胃を温存できるため、体重は維持されることがほとんど。治癒率も手術に匹敵する数字が出ています。

 東大病院で、食道がんの全摘手術を受けたグループと、化学放射線療法を受けたグループの「生活の質(QOL)」を調べたところ、食べ物ののみ込みやすさ、痛みや息苦しさなどの点で、化学放射線療法の方が勝っていました。体調も、3カ月から半年で元気なころと同じくらいに戻っています。

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