<14>増殖シグナルがあると伝える"ウソつき”ががんを作る

公開日: 更新日:

 たとえて言うなら、細胞分裂のプロセスは「増殖因子」「受容体」「細胞内シグナル伝達タンパク」「転写因子」という4人の選手が、細胞分裂というゴール目指して伝言ゲームをしているようなものだ。

 選手は次の選手が抱える「チロシン」という物質をリン酸化することでメッセージを伝える。チロシンとは細胞内でタンパク質を作るためのアミノ酸の一種で、細胞内の化学反応を促し活発化させるホルモンだ。リン酸化とはチロシンにリン酸基が結合することを指す。ちなみにチロシンのリン酸化はシグナル伝達だけでなく、細胞周期や増殖、アポトーシス(自死)などのプロセス調整に重要な役割を果たす。

「正常な細胞では増殖シグナルを受け取ってもそのときだけ増殖するようにスイッチが入り、シグナルがなくなればオフになる。ところが、遺伝子に変異がある選手は、“ウソ”をつく。本当は増殖シグナルなど受け取っていないのに、後続の選手に『増殖シグナルがきたよ』と言い、わざと細胞分裂させるよう仕向けるのです」(一石教授)

 後続の選手はそれがウソだと気付かない。結果、鳴りっぱなしの増殖シグナルに反応して細胞増殖は止まらなくなるのだ。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大逆風の田中将大まさかの〝浪人〟危機…ヤクルト興味も素行に関する風評が足かせに

  2. 2

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  3. 3

    楽天・田中将大の二軍テスト続行を明言…“外様”今江監督ならではの「常識的判断」

  4. 4

    「(菊池雄星を)高1で超えてやる」 天性の負けず嫌いが花巻東に進学した“本当の理由”

  5. 5

    斎藤元彦知事&代理人弁護士「時間差会見」のあざとさ…二人揃ってPR会社美人社長をバッサリ切り捨て

  1. 6

    八村塁が突然の監督&バスケ協会批判「爆弾発言」の真意…ホーバスHCとは以前から不仲説も

  2. 7

    斎藤元彦知事が百条委トンズラで大誤算!公選法違反疑惑に“逃げの答弁”連発も「事前収賄罪」の可能性

  3. 8

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 9

    「終わらない兵庫県知事選」の行方…新たな公選法違反疑惑浮上で捜査機関が動く“Xデー”は

  5. 10

    斎藤元彦知事代理人の異様な会見…公選法違反疑惑は「桜を見る会前夜祭」と酷似、期待されるPR会社社長の“逆襲”