一切の治療を拒否 理由は両親のがん死で生じた医療不信
医師の要請に応じ解剖すると、父の頭の中は腫瘍で埋め尽くされており、頭蓋骨をも突き破るほどだった。もともとの頭痛の原因は脳にあり、この腫瘍が鼻にまで広がったと説明されたのだ。当時としては最高と言われる医師をそろえ、最高と言われる検査と治療を受け、このざまだった。
母をがんで亡くしたのは、その半年後だ。母は子宮も卵巣も摘出。腹水が抜けず、手足はやせ衰え、襲い来る猛烈な痛みをモルヒネでしのぎ、享年60(満58歳)で旅立った。最初は卵巣がん、そして次に子宮がんと診断されて治療を受けていた母も、医師の要請で解剖したが原因はわからず、正確な病名もつけられなかった。このとき生じた強烈な医療不信が、私に医師の治療を断らせた理由のひとつなのだ。
※寛解=症状が長期的に鎮まり、治ったように見える状態