がん細胞が免疫監視システムからの攻撃を逃れる4つの手段

公開日: 更新日:

 では、研究でどんなことがわかっているのか?

 例えば、T細胞はアミノ酸が少ない環境が苦手。そのため、がん細胞は免疫抑制性サイトカインとしてアミノ酸のひとつであるアルギニンやトリプトファンの分解酵素を豊富に分泌して、T細胞の活動を抑えるという戦略があるという。

 また、免疫抑制機能を持つ細胞には制御性T細胞やMDSCがあって、それぞれ集まりやすいがん種があることがわかっている。前者はすい臓がん、肺がんが多く、後者は大腸がん肝臓がん乳がん胃がんに多いといわれている。

 免疫チェックポイントは、T細胞表面に表れる「鍵分子」と、がん細胞側の「鍵穴分子」が結合することで免疫の攻撃にブレーキがかかる仕組みだが、鍵穴分子はどんな環境でもT細胞の活動を抑えているわけではない。がん種や患者によって出現する鍵穴分子の数が違っていて、T細胞が攻撃するときに出すサイトカインのひとつ、インターフェロンγががん細胞の近くにあると、多くの鍵穴分子が出現することがわかっている。

 高齢になると例えば胸腺が衰えて、がん細胞を殺すT細胞の機能が衰える。そのためがん細胞が増えるのは仕方がないことだ。しかし、がん免疫監視機構さえしっかりしていれば、がんとの共生は夢ではないかもしれない。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    僕の理想の指導者は岡田彰布さん…「野村監督になんと言われようと絶対に一軍に上げたる!」

  2. 2

    小泉進次郎氏「コメ大臣」就任で露呈…妻・滝川クリステルの致命的な“同性ウケ”の悪さ

  3. 3

    綱とり大の里の変貌ぶりに周囲もビックリ!歴代最速、所要13場所での横綱昇進が見えてきた

  4. 4

    永野芽郁は映画「かくかくしかじか」に続きNHK大河「豊臣兄弟!」に強行出演へ

  5. 5

    永野芽郁“”化けの皮”が剝がれたともっぱらも「業界での評価は下がっていない」とされる理由

  1. 6

    元横綱白鵬「相撲協会退職報道」で露呈したスカスカの人望…現状は《同じ一門からもかばう声なし》

  2. 7

    関西の無名大学が快進撃! 10年で「定員390人→1400人超」と規模拡大のワケ

  3. 8

    相撲は横綱だけにあらず…次期大関はアラサー三役陣「霧・栄・若」か、若手有望株「青・桜」か?

  4. 9

    「進次郎構文」コメ担当大臣就任で早くも炸裂…農水省職員「君は改革派? 保守派?」と聞かれ困惑

  5. 10

    “虫の王国”夢洲の生態系を大阪万博が破壊した…蚊に似たユスリカ大量発生の理由