認知症と診断されたら肝臓の検査を…肝性脳症の疑いあり
「肥満の増加から、アルコールを摂取しなくても脂肪肝炎を起こすNASH(非アルコール性脂肪性肝炎)が増えており、認知症と肝性脳症の鑑別は特に注目されています」
肝性脳症は、肝硬変による肝機能低下で、アンモニアが解毒されずに血中濃度が増加。肝臓や、その周辺にできた側副血行路という新生血管を介してアンモニアが全身に回り、脳に達して脳神経細胞機能が障害される。
さらに、血中アミノ酸のバランスが崩れて神経伝達を阻害し、脳に影響を及ぼす。これらによって、「時間・場所が分からなくなる」「物の取り違え」「お金をまく、化粧品をゴミ箱に捨てるなどの異常行動」「眠りに陥りがちで、うとうとしている」などの症状が表れる。
「肝性脳症は症状の程度によって1~5度に分類され、認知症と似た症状が出てくるのは2度以降です。1度は“潜在性肝性脳症”といわれ、鑑別診断が非常に困難。この潜在性肝性脳症の20%が半年以内に2度へ進むとされています」
■肝臓病なら医療費助成制度もある
かつては、肝性脳症を含む肝硬変の症状が見られたら、「余命数カ月」といわれた。ところが、治療は進歩している。