騒音で寿命が縮む…幹線道路沿いに住んでいるならご用心
騒音レベルが高い環境に長くいる人は、心筋梗塞や脳卒中といった命に関わる心血管疾患の発症リスクが高まることがわかった。
米国心臓協会年次集会で報告された米国・マサチューセッツ総合病院の研究によると、幹線道路沿いや空港周辺といった騒音レベルが高い環境に長期にわたり曝露され続けた人は、騒音レベルが低かった人に比べて心血管疾患の発症リスクが3倍以上に上ったという。 研究では、健康な成人男女499人を対象に、脳と全身の動脈のPET/CT画像を撮影し、米国運輸省の騒音データに照らし合わせて騒音レベルを評価。騒音レベルが高い環境に住む人は扁桃体の活動レベルが高く、動脈の炎症レベルも高いことが分かった。
東邦大学医学部名誉教授(循環器)で平成横浜病院健診センター長の東丸貴信氏が言う。
「脳の側頭葉内側の奥にある扁桃体は『恐怖』や『不安』といった感情や、同様の刺激である騒音に反応し、ノルアドレナリンやアドレナリンなどのカテコールアミンと呼ばれるホルモンを副腎から分泌させます。これらは心拍数や血圧を増加させ心臓や血管の負担を増やします。また、カテコールアミンによって動脈硬化性のマクロファージが炎症反応を増強させるため、冠動脈プラーク破綻と血栓の形成につながります。騒音が不快な音の刺激として扁桃体を活動させ、心血管疾患リスクをアップさせるのです」